あれは、鳳凰だ。
なんて綺麗なんだろう。
初めて見た時の感想はそんなものだった。
けれども其処に秘められたものは、とてもじゃないが一言では表せる事が出来ない。
発想が貧困だとは思わない……自称になるので、何処までかは保障しかねるが。
だが、どうだ。
今目の前にある者は、まるでこの世のものではないほどの美しさを魅せている。
例えようなら幾らでもある。
けれども、例えられない。
適切な言葉が見付からないのだ。
どんな美麗な言葉を並べたとて、どれも目の前のそれには追い付かない。
当てはまりそうな言葉はあるのに、それは僅かな歪みを見せ、
結局違うのだとしか思う事が出来ない。
舞うように踊るようにしなる胴体。
謳うように音を鳴らす風切。
土を蹴る音は勇ましいのに、子気味良い太鼓の響きを思わせる。
纏う覇気は紅蓮。
それは彼を包み込み、盾となり、刃となる。
吼える声はまるで野生の獣だ。
ああ、彼は虎の子であったか。
尻尾のように揺れる、長い明るい色の髪。
巻いた緋色の鉢巻が、舞と風に揺れる。
戦場で吼える彼は、戦神と呼ぶに相応しい。
刃を振るう姿の、なんと勇ましき事か。
踊る姿の、なんと神々しき事か。
他者の血を浴び、己の流す血に塗れ、それでも地に倒れることを知らない。
けれど。
笑う姿の、なんと幼き事か。
敬愛する師に褒められた時。
大好きな甘味を食べた時。
民から感謝を述べられた時。
彼は、年齢不相応な幼い顔で笑うのだ。
幸福であると。
あの姿を見ると、とても戦神とは思えない。
戦場に在る姿は何処にもなく、其処にいるのは武将でもなんでもない、普通の若者。
牙などまだ知らぬ、ただ少し爪が鋭いだけの、虎の子。
まだ狩の仕方を知らぬ、爪の使い道など少しの遊びとしか知らぬ虎の子。
……彼は、戦場に立つ者ではないのかも知れない。
名門に生まれ育ち、強く在れと望まれ、また彼もそれを全身で受け止め、応えたけれど。
笑う姿の、なんと幼き事か。
奪い、そして奪われる。
炎が舞う場所で、彼は奪い続ける。
名も知らぬ、顔も判らぬものの命を。
たった一つの己だけの正義を掲げ、その命を削る。
それが己の存在意義だと信じて疑わない。
幼き事か。
美しき事か。
穢れを知らぬ、その翼。
真っ直ぐな、その心。
たった一つを信じて違わぬ、その心。
奪った命の先にあるもの。
それさえ包み込んで、その腕に抱き。
背負う両翼に託し、そしてまた奪い、繰り返し。
己の信ずる道の為に。
奪った命。
奪われた命。
全てを拾い上げて、その美しい翼を広げ。
きっとそれは、飛べなくなるまで繰り返される。
ああ。
その翼が。
重みで疲れ果ててしまったら。
その翼が。
誰かに折られてしまったら。
その翼を。
………(俺/私/僕/儂/我/)が
奪ったら。
その時もまだ
その美しい両翼は
お前の背中にあるのだろうか
まるで不死鳥のように
壱万打感謝!!
ありがとうございます!
…記念小説がカップリングなしでごめんなさい…
そ、総受け方向で……(汗)